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尸(し) 古から隠されているもの

若き画家・飯村晏菜は両親が移り住んだ史人村を訪れた。
村の近くには二十段の石段を上る丘があり、その地には不思議な沼があった。
「古来、この沼にはいかなる名も付与されてこなかった。
名を冠しようとする意志を、この沼は根こそぎ奪い取ってしまうんだ。
よって、名はない。
地図にも名称は何も記されていない」父はそう語った。
沼の畔には黒い碑が建てられていた。
誰が、何の目的で? 晏菜は歴史民俗学の研究者・緑川青と共に、その碑に書かれた文字を解読しようとするが、やがて彼女たちを見つめる村民の目が変わっていることに気づく。
そう、まるで二人を監視しているかのように……。
電子オリジナルの怪奇・幻想ホラーサスペンス。
●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)1960年、三重県伊賀市生まれ。
早稲田大学第一文学部文芸専修卒。
同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。
在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。
印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。
第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。
ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は170冊を超える。




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