ハンスの林檎
中国・青島で日本軍に敗れ、徳島・板東に移送されたドイツ人捕虜約千名は、異国の地で不安と闘いながら、パン作りや畜産、フットボールや西洋音楽を教える。
若い将校の横暴に抗議してのストライキ。
収容所で働く少年との友情。
民間人との禁じられた恋の行方。
「歓喜の歌」が初めて響いた四国の山河。
その青春の息吹が、日本人の心をも変えていく……。
板東収容所での史実をベースにして、ドイツ人と日本人の交流を描いた長篇小説。
●村上政彦(むらかみ・まさひこ)作家。
1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。
以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。
また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
アジアの物語作家を自任している。
近著に『台湾聖母』(コールサック社)。
日本文藝家協会常務理事。
日本ペンクラブ会員。
文化庁国語分科会委員。
「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。
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