オルフェウスのダンジョン
殺された当日、沢渡自身が吹き込んでいたボイスレコーダーの内容……。
それによって少なくとも足取りはわかるだろうし、もしかすると沢渡が吹き込んだ内容の中に、事件解決の糸口があるかもしれない。
沢渡が最後に回った地下街は、全部で六ヵ所。
梅田の『ホワイティうめだ』、京橋の『コムズガーデン』、難波の『なんばウォーク』と『NAMBAなんなん』、天王寺の『あべちか』、そして堂島の『ドージマ地下センター(ドーチカ)』である。
たぶん沢渡の頭の中では何らかの必然性があって、最終的な取材をこの六ヵ所に絞ったものと思われる。
(「オルフェウスのダンジョン」より) 大阪府下の地下街を舞台にした表題作の他、福井県の越前海岸を舞台にした「Murder in memory」、三重県名張市を舞台にした「うつし世は悪夢」、京都府の丹後半島を舞台にした「そして天女は舞い降りた」の中篇ミステリ4本を収録。
電子オリジナル作品。
*Murder in memory*オルフェウスのダンジョン*うつし世は悪夢*そして天女は舞い降りた●石井敏弘(いしい・としひろ)1962年、岡山県倉敷市生まれ。
岡山商科大学卒業。
1987年、第33回江戸川乱歩賞を『風のターン・ロード』で受賞。
ミステリー・イベント用原作小説の書き下ろし他、現在は脚本家としても活動。
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