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森からの使者

目を開くと、桟敷を埋め尽くした人々がササの藪に見えた。
立っているものはブナやミズナラの木に見えた。
人々の頭が動けば、それは風に揺れるササのように見えた。
人いきれと蒸し暑さも気にならなくなった。
「さあて、イタズはどこに潜んでいるかな」伊一は余裕のある呟きを洩らした。
イタズとはツキノワグマのことだ。
(本文より) 風雲急を告げる政治情勢の中で、平民宰相・原敬の手足として動いた影の男。
最後のニホンオオカミとの交情を通じて、自然の掟に従い、激動の時代を駆け抜けた少年の成長物語。
●斎藤純(さいとう・じゅん)小説家。
1957年、盛岡市生まれ。
FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。
1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。
岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。




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