駄菓子屋
しかしそれは明らかに、インテリアのために配置されたようなそんな気配であった。
どうです、ますますいいでしょう。
レトロ調でこの駄菓子はオシャレでしょう。
そうあの鉢植えをぼんやりと眺めているマスターがさも言いたげなように、駄菓子は店先でわずか数品ばかりが、店主の、そして大人たちの、懐古願望を満たすためのもののように、客受けを狙う見世物として晒されていた。
(「駄菓子屋」より) 文芸誌に掲載された作品、デビュー前に同人誌へ寄稿した作品、さらには完全書き下ろしの新作「銀閣寺」まで。
単行本未収録の短篇小説を集めた電子オリジナル作品集。
*駄菓子屋*木曜日の最後の授業*新しき自分*人形の家*失っていく男*闇より深い夜の河*子供たちの夏*空、見上げる者たちへ*竹野にて*銀閣寺●竹野雅人(たけの・まさと)1966年生まれ。
東京都出身。
法政大学経営学部卒業。
大学在学中の1986年に「正方形の食卓」で第5回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。
1994年、『私の自叙伝前篇』で第16回野間文芸新人賞受賞。
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