トキオ・ウィルス
タクシーの運転手がこんな話をしていた。
彼はカラオケバーで会った女から聞いたという。
ブティックの試着室で次々と消える少女たち、ガイジンたちの間で有名な古びたコインロッカー、そして、男を去勢する謎のウィルス……。
人々から発せられた噂は、耳から入り、やがてウィルスのようにあなたを浸触していく。
そこには、あなたの聞いた噂もあるかもしれない。
都市に棲息するホラー・ストーリー六十余編。
●村上政彦(むらかみ・まさひこ)作家。
1987年『純愛』で福武書店(現・ベネッセ)主催の「海燕」新人文学賞を受賞。
以後『ドライヴしない?』『ナイスボール』『青空』『量子のベルカント』『分界線』で5回の芥川賞候補に。
また『ナイスボール』は相米慎二監督により『あ、春』として映画化、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
アジアの物語作家を自任している。
近著に『台湾聖母』(コールサック社)。
日本文藝家協会常務理事。
日本ペンクラブ会員。
文化庁国語分科会委員。
「脱原発社会をめざす文学者の会」事務局長。
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