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弁天てんてん

はい、入り口はこちらでござい。
時は明治三十八年。
高橋健吾という風刺画家がおりました。
聞くもあわれ、見るもあわれ。
この男、とんでもない一件に巻き込まれます。
言ってみれば、本格伝奇小説のごとき大事件でございます。
見世物小屋の看板絵描きや三味線をつまびく少女に出会い、おまけに暗躍する成金野郎と渡り合います。
鎌倉と秩父にまたがる謎は、さらに謎を呼び、いよいよの開幕となります。
さあて、つかまつる。
おっと、お代はお読みになる前に。
島村匠名義で発表された伝奇浪漫小説が電子で復刊。
●佐野広実(さの・ひろみ)1961年横浜生まれ。
1999年第六回松本清張賞を『芳年冥府彷徨』(島村匠名義)で受賞。
2020年第六十六回江戸川乱歩賞を『わたしが消える』で受賞。
近作は『誰かがこの町で』(講談社)。
電子書籍封切作品に『ムッシュ・ジャポネ』『浮世絵鑑定談』『森嶋中良 御典医の次男坊』がある。
「新青年」研究会会員。




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