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蜉蝣

「いとほしくて、可愛くて、切ないくらゐなんだよ、君をいとほしいと思へば思ふほど、虐めたくなる」無抵抗で脚を開いた帰依は、皮膚を抉る針の痛みが延々と続くのに朦朧としながらも、快楽の液体が滲み出て来るのを止められなかった……。
不穏な空気がたちこめる、昭和十年、上野。
美校で裸体を曝すカフェの女給・帰依。
繊細な画学生、謎めいた絵葉書屋、大きな屋敷を構える絵描きと耶蘇教の下男。
男たちとの邂逅で、帰依の人生は捩れはじめた。
官能と禁忌に弄ばれた女の性を描く、落涙の長篇純愛小説。
●若合春侑(わかい・すう)宮城県塩竈市生まれ。
東北学院大学経済学部経済学科を卒業。
1998年、「腦病院へまゐります。
」で第86回文學界新人賞を受賞する。
同年、同作が第119回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。
同年、「カタカナ三十九字の遺書」が第120回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。
1999年、「掌の小石」が第121回芥川龍之介賞の候補作に選ばれる。
同年、『腦病院へまゐります。
』が第21回野間文芸新人賞の候補作に選ばれる。
2002年、『海馬の助走』で第24回野間文芸新人賞を受賞する。
2005年、國學院大學文学部神道学科を卒業。




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