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赤いランドセル

毛糸の焦げるような厭な臭いに、女は一台だけ動いている乾燥機の方へ近づいていった。
洗濯物に混ざってゴム手袋のようなものが見える。
それにしては小さすぎた。
不意に背筋が震えた。
キナ臭いにおい。
喉の奥がむかつく。
血が引いてゆく。
それでもガラスドアから目を離すことができない。
どう見てもそれは人間の手だ。
それも、子供の手だ……。
東京・田園調布。
高級マンションのコインランドリーから女児の死体が見つかった。
誰がこんな残虐なことを? ワイドショー番組の特派記者である浅見恭介は、次第に事件取材にのめりこんでゆく。
長篇サスペンス。
●斎藤澪(さいとう・みお)1944年、東京生まれ。
国学院大学文学部国文科卒業。
雑誌編集部、広告代理店勤務を経て作家活動に入る。
1981年『この子の七つのお祝いに』で第1回横溝正史賞を受賞して小説家デビュー。
『赤いランドセル』『冬かもめ心中』『花のもとにて』など著書多数。




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