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脅迫者たちのサーカス

露崎は一晩泊めてやるのは仕方あるまいと思い始めていた。
これから東京に帰るのは十歳の子には困難だろう。
ローカル鉄道の本数がとても少ないし、乗り継ぎも厄介だ。
それよりなにより、夜道に一人で離せば、また自殺でも図りかねない。
(本文より) 一面の田園。
稲は穏やかに波打ち、ビニールは無機質に照り返していた。
自殺未遂の家出少年と、世捨て人のような男がそんな場所で出会う。
だが、少年の家には「子供を預かっている。
五千万円用意しろ」という脅迫状が届いて……。
警視庁捜査一課の女性刑事、倉原真樹が活躍する長篇推理小説。
●日下圭介(くさか・けいすけ)1940年和歌山県生まれ。
早稲田大学第一商学部卒。
1965年朝日新聞社に入社。
1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。
1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。
その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。




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