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江戸の一夜

江戸勤番になった実直な侍が出会った妖艶な女。
まんまと財布をすられながらも何となく憎からず思っていた。
偶然か罠か、侍は逢瀬に誘われるが……。
「江戸は怖い所だから、お気をつけになるんですね」生き馬の目を抜く大都市でたくましく生きる女と、武骨な侍の妖しくも爽やかな交歓を描く表題作など、十六編。
江戸の街を舞台に、色と欲に狂奔する人々の姿を活写した時代小説短編集。
*江戸の一夜*出戻りぐせ*ペテン師たち*笑くぼの女*淪落*不義の部屋*ある御落胤*隣りも妾宅*みれん*渡し場*酔眼の友*夜逃げ家老*権八伊右衛門*欺し欺され*夫の首*蛇●多岐川恭(たきがわ・きょう)1920年福岡県生まれ。
東大経済学部卒。
戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。
1953年『みかん山』で作家デビュー。
『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。
以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。




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