武田騎兵団玉砕す
信玄の跡を継いだ武田勝頼は焦っていた。
重臣たちに、父と比較され軽んじられていることに腹を立てていた。
そして信玄の遺言である「三年は死んだことを伏せ、守りに徹しよ」に背き、奥平貞昌が守る長篠城を攻めた。
だが落城寸前、織田・徳川連合軍が押し寄せてくる。
勝頼は討って出るが、予想をはるかに超える三千の鉄砲を前に苦戦。
全国の武将に恐れられた武田騎兵団の運命は……。
天正三年(一五七五年)の「長篠の合戦」を舞台に、武田勝頼、奥平貞信、徳川家康、織田信長、鳥居強右衛門など各人の思惑をつぶさに描く。
●多岐川恭(たきがわ・きょう)1920年福岡県生まれ。
東大経済学部卒。
戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。
1953年『みかん山』で作家デビュー。
『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。
以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。
更新中です。しばらくお待ちください。