四面の阿修羅
人は多面性を持つさながら阿修羅のごとく槙野・東條シリーズ最新作晴海ふ頭近くの空き地で男性のバラバラ死体が発見され、捜査一課の長谷川班が捜査に乗り出す。
司法解剖の結果、遺体の傷すべてに生活反応が認められ、被害者が生きたまま四肢と首を切断されたことが判明。
しかも、頭部には「生ゴミ」の貼り紙まであり、長谷川班のエース・東條有紀は、事件の猟奇性の裏にある動機を探る。
しかし……。
吉田作品は現代を象徴するような何かを焦点化することはほとんどない。
どちらかといえば、「人情」や人との「縁」による犯罪捜査など昔から連綿と続くものが事件解決の重要な要素になっている。
それこそ、テクノロジー全盛の時代において、これはいささか古く感じてしまう部分もあるかもしれない。
だが、やはり現在の話を描いているので、よく眼を凝らしてみると、それこそ「今」を反映している部分が色濃くある。
(解説より:藤井義允)
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