足も目も不自由な猫、ボル。<br />見えない目で見ている世界はなんなのか。<br />呼ぶと、おかしな声を出して寄ってくる。<br />ボルは主人に呼ばれることを、いつも待っている。<br />主人はボルがひょこひょこ歩いてくるのを待っている。<br />生きているとは、こういうことなのか――。<br />晩翠賞受賞の詩人が残した私家版「詩集ボル一九七三年」を再編集。<br />巻末には詩人の娘が解説を寄せる。<br />猫との暮らし、その死を通して、生きているとは何かを自己に問いかける。<br />