明治時代初期、政府の増税、主要産物生糸の大暴落という背景事情につけこみ、銀行と高利貸は秩父の農民たちに多額の借金を請求していた。<br />銀行や高利貸を合法的に退ける力もなく、追い詰められた農民たちは自由党員とともに「困民党」を結成、武装蜂起という最後の手段をとる。<br />自由民権運動のさなかに起きた、秩父事件。<br />歴史的には運動が過激化した事件と捉えられるが、そう簡単に片づけてはいけない。<br />そこには義に生きる男たちの濃密なドラマがあった。<br />