倭国を激しい地震が襲った。<br />犠牲になった人々を慰めるため、推古天皇と蘇我馬子は、幼い宝姫王を齊王に任じた。<br />一心に神に仕え成長した宝は、厩戸皇子の高い理想を胸に隋に向かう若き留学生、高向黒麻呂に出会う。<br />互いに強く惹かれ合いながら、黒麻呂は旅立ち、宝は黒麻呂との約束を胸に一人待ち続ける。<br />十五年が経ち、ようやく倭国に戻った黒麻呂だが、新羅の質として再び倭国を離れることになる。<br />その前夜、ついに二人は一夜をともにするが……。<br />