福岡で十年間の結婚生活に終止符を打った仁は、かつての恋人寛子と再会する。<br />わざわざ東京からやって来た寛子は「抱きしめてもらいに来た」の言葉を残し、仁の前から姿を消す。<br />それから一年後、福岡で再会する二人だが、寛子の隣には片時も離れようとしない男の子耕介がいた――。<br />変わることを恐れ続けた男と誰にも心の奥底を見せない女。<br />そして、幼くして両親を亡くしたダウン症児の男の子。<br />それぞれの喜びと哀しみを描いた書き下ろし小説。<br />