現在の東京・府中市の一角。<br />そこはかつてハケ下と呼ばれ、多摩川が氾濫するたび大変な被害に見舞われておりました。<br />ハケ下大野郷の貧農に生まれた伊助と、浅間山の噴火で故郷を追われ流れ着いた志津。<br />いつか豪農になることを夢見、開墾に明け暮れる日々。<br />貧しくとも、家族に囲まれささやかな安穏を掴みかけておりましたが……。<br />長年に亘り江戸庶民の暮らしを研究してきた著者が、懸命に生きた農民たちの人生模様を鮮明に描き出す意欲作。<br />