引きこもりの日々から突然、たった一人の家族である母を亡くした坂本曜。<br />社会生活に無知な彼がとったその後の行動、そして流転の日々――人々のつながりと家族の再生を描いた連作短篇集。<br />母の笑った顔は、忘却していた。<br />でも、「曜、しっかり生きろ」と聞こえた声は母なんだ。<br />雨上がりの空を仰いだ。<br />遠い日のアパートの部屋の匂いがした。<br /> (本文より)