自分達の時代だけは特別であるかのように信じていて、青臭く夢想じみた錯覚。<br />それが僕の青春だった。<br />とにかく自意識過剰で、何をするにしても一途に気負い過ぎていた。<br />―本文より―こんな青春の思い出は、誰もが経験する気恥ずかしさだろう。<br />自分たちだけは特別だと思い込む青臭さ、自意識の強さ故の孤独。<br />青春に傷つき悩む、「すべての若者」に通ずる葛藤を、60年代、70年代の学生運動隆盛期の活気溢れる空気とともに描く私小説。<br />