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アルカリ色のくも 宮沢賢治の青春短歌を読む

歌人9人が短歌を鑑賞し賢治の心情に寄り添う。
賢治短歌の成立についての論考も収載。
賢治短歌は、のちの文学的開花に至る若書きと考えられてきたが、大胆な分かち書き、独創的な表象をモチーフにした歌など、特異な個性に満ちている。
そしてその魅力は評者の経験や文学的感受性により多様な詠みができることである。
15歳盛岡中学入学の折より詠み始め日記がわりにノートに書き留めたというが、詩情あふれる表現は中学生のレベルを超えている。
卒業後、生家にもどるしかなかった賢治は、入院もし先行きのない不安になやまされる。
この時期の歌風は内省的な心情が色濃く反映されている。
一年の浪人の末、盛岡高等農林学校に入学した賢治は、文芸誌「アザレア」という発表の場を持つ。
それまでの自閉的作品からは一線を画した後の児童文学、詩を想起させるような作品を生み出す。
短歌はいうまでもなく一人称詩型を基本とするが、賢治短歌は現実の自分を超えた架空の自分を創出していく。
さらに高校卒業後、肋膜を患いつつも土壌調査を続ける中で詠まれた連作群がある。
31文字には収まり切れないと言わんばかりの緊迫感をもった連作である。
短歌という文学手段から散文へと移行してゆく離陸期とも捉えられよう。
こうした賢治の思春期、青年期と、短歌の鑑賞を併せ読むことにより、賢治短歌にあらたな地平を広げる一書である。
鑑賞する歌人は、内山晶太、大西久美子、尾崎朗子、梶原さい子、嵯峨直樹、堂園昌彦、土岐友浩、吉岡太朗。
賢治短歌研究の第一人者である佐藤通雅氏の論考「賢治短歌の成立」も収載




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