紀州山中で、仇敵の鎖鎌の名人宍戸梅軒を破った後、江戸に下った武蔵は、細川家家老長岡佐渡から、同家兵法師範となっていた佐々木小次郎との試合を所望され、九州へ赴く。<br />対決はついに実現した。<br />所は豊前長門の海門・船島。<br />しかしその日、刻限を過ぎても武蔵は姿を現わさない。<br />待つこと一刻、遅参に苛立つ小次郎の眼に漸く、沖合の波にもてあそばれる一艘の小舟が映った……。<br />傑作時代長編完結編。<br />