愛する女性ファリダのために、スエズ義勇軍に参加し、爆薬を抱えて夜の海を泳ぎきり、かけがえのない生命の燃焼の時間を持ち得た男、皆川。<br />ところが東京に帰った皆川は、次から次とさまざまな女の肉体に惑溺し、バルトリン腺粘液の白い海に溺れて過ぎてゆく日々……。<br />交錯するスエズと東京、純粋な愛とすさまじい性の営み、現代人にとっての‘人間復権’を激しく追究した野心作。<br />