相馬を乗せた東海道線急行列車は、一路広島へひた走る。<br />素子と綾子に同時に感じた愛情が相馬の回想の中をめぐり、自分の創作に登場する二人の女性とイメージが重なっていく。<br />翌朝早く広島に到着した相馬の朦朧とした意識の内に再び夢の風景が浮ぶ……。<br />24時間の時の経過とともに真実の愛を求めて彷徨する魂の行方を交響曲的手法で描き出した日本文学大賞受賞の長編小説。<br />