鬼童子信之は、過激派の同志虐殺と〈八ケ岳山荘事件〉に連座して獄中にいる長男・乙彦に面会することも、進んで弁護士をつけることもしない。<br />信之は、息子には息子の、自分には自分の生き方があるという信念を貫き、職を辞すこともなく、マスコミの取材も拒否した。<br />そのため、彼と家族への世間の指弾は一層厳しさを増す。<br />連合赤軍事件を潜在的テーマに、家族とは何かを問う長編。<br />