妻のある画家・渋太吉は、旅先の伊豆南端の海村で蜃気楼のように現われた若い女性を愛しはじめる。<br />渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、現在の妻とは離婚寸前の状況にある。<br />やがて伊豆で逢った女性は親友の妻・安見子であることが判明するが、渋の安見子への思慕はやみがたく肉体関係を続ける。<br />恋愛のいくつかの相を捉えて、頽廃と絶望の時代における愛の運命を追求する。<br />