化石の森
現代という‘化石の森’をさすらう主人公は、予期せざる危機に追い込まれる。
ショッキングな結末が、そこにこめられている寓意の恐ろしさが、いっそう深い衝撃性をもって読者の胸に伝わってくる。
劇薬《メディアチオン》による完全殺人、母親に対する嫌悪、荒廃した性愛、関わりのない他人への自己破滅的な献身。
救い難い矛盾に引き裂かれた医学生・緋本治夫の戦慄の行動を通して、現代人の内部に暗く鬱積した怒りを白日のもとにさらし、他者とは何か、人間の存在とは何かを追求した、渾身の書下ろし長編。
芸術選奨文部大臣賞。
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