ようやく仕事も軌道に乗り始めた矢先、40代の働き盛りの身で、末期癌の宣告を受けた男は、未知の治療法に賭け、ひとり海辺のマンションにこもった。<br />家族を捨て、会社を捨てた凄絶な闘いの末、3年半後、男は奇跡的な生還を果たすのだが……。<br />生と死のドラマを極限まで描破して、著者の力量を改めて示した、平林たい子賞受賞の表題作。<br />ほかに「院内」「孤島」の短編2作を収録する。<br />