傷ついた戦友自身の依頼により、その戦友の命を断った――消したくても消えることのない、重く暗い記憶。<br />かくて主人公・伊崎は、戦争によって生の流れを中断されてしまった自分の存在に、それでも意味を見つけようと模索する。<br />やがて国際資本の厳しい経済封鎖であえぐ‘石油問題’の打開に己れの活路をも見出した彼は、狂気の沙汰と言うべきイラン原油買付けに命を賭けて挑む……。<br />