‘現代’の象徴ともみられる、重く混沌とした‘亀裂の世界’にその身を横たえようとしながら、にもかかわらず、決して‘亀裂それ自体’にはなりえない青年作家・都築明を中心に、‘亀裂の世界’に棲む人々――若い拳闘家・神島、女優・泉井涼子、少年テロリスト、右翼ボス・高倉、殺し屋・浅井といった面々の愛欲、権勢欲、物欲、殺人などを描き出して、挑戦にみちた問題作。<br />