母の死後、母の初恋の人、佐山に引きとられた雪子は佐山を秘かに慕いながら若杉のもとへ嫁いでゆく――。<br />雪子の実らない恋を潔く描く『母の初恋』。<br />さいころを振る浅草の踊り子の姿を下町の抒情に托して写した『夜のさいころ』。<br />他に『女の夢』『燕の童女』『ほくろの手紙』『夫唱婦和』など、円熟期の著者が人生に対し限りない愛情をもって筆をとった名編9編を収録する。<br />