身体は日ごとに成熟してゆく。<br />胸も豊かに色づいてきた。<br />だが、彼女は外の世界をまだ恐れていた。<br />ロシアの血をひくその容貌が、好奇の視線を集めてしまうから。<br />薫、あなたは恋を知らぬ少女だった。<br />『海猫』を甦らせた表題作をはじめ、現在まで描いてきた短編より選びぬいた、オリジナル作品集。<br />純粋さ、喪失感、静謐な喜び、癒えぬ哀しみ……。<br />恋愛にはきっと、人生の全てがある。<br />