神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。<br />わずか二年前に仕官したばかりだった。<br />主君の死に始まる山代家の騒動はいまだ治まる気配を見せない。<br />殿の愛妾となった幼なじみ、行方をくらました元藩士、朋輩の美しき妹、忍び寄る影。<br />佐平は、己の進むべき道を見つけることができるのか。<br />若々しい熱気と円熟した情感をたたえた、志水辰夫の新たなる代表作。<br />