ドストエフスキーは、組織の結束を図るため転向者を殺害した‘ネチャーエフ事件’を素材に、組織を背後で動かす悪魔的超人スタヴローギンを創造した。<br />悪徳と虚無の中にしか生きられずついには自ら命を絶つスタヴローギンは、世界文学が生んだ最も深刻な人間像であり‘ロシア的’なものの悲劇性を結晶させた本書は、ドストエフスキーの思想的文学的探求の頂点に位置する大作である。<br />