生地日戸村には一切触れず、啄木が自らの「故郷」と呼んだ渋民村。<br />函館、小樽、釧路を転々とした北海道での漂泊。<br />金田一京助とのあいだの類いまれなる友情。<br />そして、千年に及ぶ日本の日記文学の伝統を受け継いだ『ローマ字日記』。<br />膨大な資料をもとに啄木の生涯と作品を丹念に読み解く、九十三歳の著者が精魂傾けた傑作評伝。<br />