騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。<br />無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。<br />名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。<br />粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。<br />混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開く――。<br />美味絶佳の人情時代小説。<br />