宵節句の宴で七重は隣家の出三郎の袂に艶書を入れる。<br />しかし、部屋住みでうだつがあがらないと思っている出三郎には、それが誰からのものかわからないまま、七重は他家へ嫁してゆく。<br />廻り道をしてしか実らぬ恋を描く「艶書」。<br />愛する男を立ち直らせるために、自ら愛着を断つ女心のかなしさを謳った「憎いあん畜生」。<br />著者が娯楽小説として初めて世に問うた「だだら団兵衛」など全11編。<br />