笑っている者には毒があった、至る所に罠があった。<br />――江戸初期、持ち前の才覚と力量とで出世の野望を遂げようとした山田長政は、陰険な術策と謀略の渦巻くシャム(タイ)のアユタヤ王宮の傭兵隊長となった。<br />一方、切支丹の冒険家ペドロ岐部は魂の救いを求め、アユタヤに着いた。<br />「地上の王国」を築こうとする者と、「天上の王国」をめざす者とを通して日本人とは何かを探る長編小説。<br />