もっと幸せになりたい。<br />もっと認められたい。<br />もっともっと、愛されたい。<br />男を、結婚を、名声を、執拗に求め続けた女、眞杉静枝。<br />最初の結婚からは自ら逃げ出した。<br />愛人・武者小路実篤はついに応えてくれなかった。<br />若い恋人・中村地平は逃げ、夫となった中山義秀も最後には背を向けた。<br />死の間際まで艶聞にまみれたスキャンダラスな女流作家。<br />こんなにも狂おしく哀しい女がいた――。<br />