小池文造が両国で目撃された、という。<br />藤原道場で共に汗を流した仲ではあるが、もとより傲岸(ごうがん)きわまりない男だった。<br />私闘に敗れ逐電した後、どのように命を繋いできたのだろうか。<br />やがて、定町廻り同心・朽木勘三郎は宿命の対決へ歩みを進めてゆく(表題作)。<br />勘三郎とその配下朽木組の痛快無比な活躍を描く全四篇。<br />「時代小説に野口卓あり」と高らかに告げる、捕物帳の新たなる定番。<br />