呪いめいた言葉をつれて、女と暮らすつもりの男が、女を亡くした友と旅に出る。<br />彼らの視るものは、紅葉が燃えて狂ったように輝く山と、女人の匂い立ちのぼる森。<br />そして夜には、谷を流れるあの鐘の音が、昏い峠に鳴り渡って――。<br />三十男二人の妖うい山路を描く表題作ほか全八篇。<br />現代日本最高峰の作家による言語表現の最先端。<br />