〈俺は人間の世界が嫌や。<br />言葉も不自由やし……俺もお前たちの中に入りたいわ〉 ドモリで気が弱いために人とうまく接することができず、人間よりも動物を愛した福本一平は、野生の日本猿の調査に一身を捧げる決意をする。<br />しかし、猿の餌づけに精魂をかたむける彼の前には、大資本が、無理解な人間たちが立ちふさがる。<br />一人の弱い人間の純朴でひたむきな生きかたを描く感動の長編。<br />