「平安建都千二百年」に沸く京都で、地図から消されようとしている小さな場所。<br />たしかにそこにいたはずの、履物屋の老夫婦と少年の自分。<br />千年百年単位で幾重にも塗りこめられた土地の記憶。<br />自身が生まれ育った京都という町を舞台に、昭和三十年代から現在までの半世紀にわたって、人びとの営みの根源に触れる連作小説。<br />