「私は、彼を殺します」嵯峨野の尼寺でそう記し、姿を消した女=ゆみ。<br />京都で休暇中の、十津川警部が見かけた彼女の横顔は美しく、寂しかった。<br />女の哀しい殺意と十津川のとぎ澄まされた勘が交わるとき、事件は静かに幕を開ける――。<br />竹林で死んでいた、ゆみの姿。<br />次第に明らかになってゆく、新興宗教団体の狂気と闇。<br />貴船、清水、祇園祭。<br />古都をあざやかに描く、旅情豊かな長編推理小説。<br />