愛だけを語り、愛だけに生き、十字架上でみじめに死んでいったイエス。<br />だが彼は、死後、弱き弟子たちを信念の使徒に変え、人々から‘神の子’‘救い主(キリスト)’と呼ばれ始める。<br />何故か?――無力に死んだイエスが‘キリスト’として生き始める足跡を追いかけ、残された人々の心の痕跡をさぐり、人間の魂の深奥のドラマを明らかにする。<br />名作『イエスの生涯』に続く遠藤文学の根幹をなす作品。<br />