精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。<br />妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか? 小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。<br />実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった――。<br />表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。<br />