亡き父の預り物を持って蓑太は富士をめざしていた。<br />届け先は道場を経営するかたわら天然水の販売を手がける書家の彷尊。<br />その途次、道場に囚われているという娘の救出を乞われる。<br />正邪の定かならぬ男女、ゴミ山、毒、群発地震……木口木版画・美術家のイマジネーションが描き出す、黒く焼け出された人間の業と富嶽の断末魔。<br />