黒船来航、台場建造で騒然とする江戸品川。<br />川越藩樋口家の主・杢右衛門と妻・沙代は、台場守備の陣屋築造のため、下屋敷に移り住むことになった。<br />砂塵が舞う仮住まいの暮らしに、みおという砂まみれの女が下女としてやってくる。<br />そして夫の朋友彦三郎も同居することに……。<br />夫と妻と女と男、妖しく揺らぐ恋情を、新たな時代の息吹のなかに濃やかに描き出す長編小説。<br />