昭和21年6月、憧れの真っ白な軟式野球ボールを手に入れるため、山形から闇米抱えて出奔して来た国民学校六年生の野球狂の少年たち。<br />その大冒険は、疲弊と混乱の極に達した東京の街を舞台に、一進一退のシーソーゲームとなって展開する。<br />眼前に拡がる敗戦の実像、しかし人々はなおしたたかに生きている。<br />戦後とは何だったのか。<br />そして問題のボールは彼らの手に入るのだろうか。<br />