「治兵衛さん、しぼり尽させてもらいますえぇ」。<br />島原女郎の請け出しに身代賭けた大店の旦那。<br />菊の香りを懐かしむ消えた恋女房に瓜二つの歌比丘尼。<br />国もとの妻の胸を騒がす不思議な夢が暴く、見てはならないこの世の闇……。<br />浪花で恋に焦がれ、江戸で情けに溺れる女と男。<br />西鶴もかくや、の情念にじむからくり話を自在に操る名うての著者の絶品世話物競演! 『夢からの手紙』改題。<br />